ボルネオ キナバル 2014.4

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はじまり

3月上旬頃、GWは有給を使って10日間の休暇を確保していて、どこに行こうかな〜とネット検索していると、海外登山のワードを発見し、その中からキナバル登山というツアー会社のHPを見つけた。4095m東南アジア最高峰。富士山も登ったこともない僕にはいきなりの4000m級だ。登ってみたいと思った。気が付いたらツアー会社に連絡していて、その5日後には飛行機のチケットをとっていた。ということでキナバル山の山行報告です!

1日目

羽田空港に到着。税関をパスして、出発ゲートで休憩。定刻通り飛行機は出発。

機内では赤ワインを何度も注文して、高度が高いのかすぐに酔っぱらってしまった。シンガポールのチャンギ空港を中継、そしてコタキナバル空港行きに乗り19時に到着した。夜が始まっていたから、両替をしたあとすぐタクシーチケットを買ってタクシーに乗り込んだ。ちなみに英語を使ったことは一度もなかった。公用語は英語とマレー語とは聞いていた。行先のホテルを告げて通じるのか不安だったがとりあえず通じたようで目的のホテルに到着した。それからフロントでチェックインを済まし、街を探索。夜のコタキナバル市街は雰囲気が独特。ホテルのすぐそばに野外飲食広場があり、人々が大勢憩っている。とりあえず、ホテルの隣にあった食堂でバクテー(肉骨茶)とタイガーという地ビールを注文して美味しくいただく。それから明日のための水や行動食を買って部屋に戻って就寝。

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コタキナバルの野外食堂

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食堂

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バクテー(肉骨茶)。スパイスが効いて旨い。

 

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何かの葉っぱ。バクテーにつけて食べろと言われた。

 

2日目

4時30分起床。午前6時ホテル集合ということで、ホテルのロビーに5分前に待機。でも時間になっても誰も来る気配もない。いてもたってもいられず何人かそれらしいツアー関係者に話しかけてみるもすべて不発。他のツアー関係者がどんどん観光客を連れて出ていく中、僕一人だけが取り残されていた。もしや来ないままなんてないだろうなと思っていたところ、現地のツアー会社の名前が記されたワゴンがロビー前に到着。すでに15分ぐらい遅れていた。

ツアー会社のニイチャンが私の名前を確認した後、ワゴンに僕を乗せる。中にはツアーの東南系の顔立ちの女性が同乗していた。でも彼は出発してくれなかった。どうやら他の参加者を待っているようだった。ニイチャンは僕が二人連れだと思ったようで、もう一人はまだかとか、トラブルはないかと聞いてきたのだけど、僕は、ニイチャンが15分遅れてきたのがトラブルだぜと内心思いながらノートラブル、ワンオンリーと返事したが、ニイチャンは僕の日本語を怪しんだのかさらに名簿を見せてきてSという日本人名を指し、こいつを知らないかと尋ねてきたが、僕は知らないと返事をした。どうやら同乗する予定のそのSがまだ現れないとのことだった。若いニイチャンがホテルのフロントに宿泊者の中にいないか尋ねたり、本部に携帯で何度も連絡したりしている間にも時間はどんどん過ぎていく。結局ニイチャンが諦めたのか、新たな情報を得たのか分からないが、Sという男は現れないまま、6時40分ホテルを出発。何か来られない事情でもあったのかと想像したりはしたが、僕ははじめての海外で自分のことで精一杯だ。さて僕はいったいどうなるんだろうと期待と不安で一杯だった。

 

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ホテル前 いつまでたっても来なくて途方に暮れてた。

 

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車窓越しに見えるキナバル山。雲がかかっている。

 

朝は曇り空で雨の跡が道路に残っていたけれど、道路を走っているうちに次第に晴れ間も見え道路は乾いていった。東南系の女性とツアーのニイチャンはさかんに英語でやりとりしていて、理解できない僕は一人窓の外に目をやっていた。すぐに目についたのはコタキナバルの建物だった。日本とは違うし、次に行ったシンガポールとも違った。中華、イスラム、欧米の色々な文化が混在していて様式に統一性がなかった。そしてとてもカラフルだった。色を揃えるのではなく、隣の家がピンクだったら、俺んちはイエローって感じで、バラバラなのだ。でもちぐはぐじゃなかった。観ているだけで楽しくなり写真をたくさん撮った。それからHONDAやSONY、FUJIFILM、SUMSUNGの見覚えのある看板をみつけた。セブンイレブンもあった。そしてそれ以外のコンビニはあるようだ。そしてコタキナバルでは、いたるところで工事をしていた。まさに発展しようとしているところなのだと思った。でも一方で途中でトラックが横転して放置されたままになっていたりと、よくわからなくなる。さすがコタキナバルだと思った。走って1時間ほど経つと郊外を抜け、やがて目立つ建物も見えなくなり単調な山道のカーブが続いた。また30分走るとキナバル山の王冠のような稜線が目に飛び込んできた。これが僕が登る山なのだ。でかいな。これが4000m級か。威圧的な山容だった。

 

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キナバル公園本部

 

8時45分キナバル公園本部に到着。ここで入山手続きをする。僕たちが乗ったワゴンが停車するとすぐにワゴンの扉が開き、本部の女性の元気な声が響いてきた。首にかける紐のついた名札と弁当袋をもらい、それからすぐに50代くらいの小柄の男性を連れて、彼が私のガイドだと説明した。どこか日本人っぽい顔つきで「コンニチワ」と話しかけてきたので、思わず日本語で返事をしたのだけど、彼はすぐに申し訳なさそうな顔をした。日本語は喋れないようだ。そして彼が車に乗り込んでまたワゴンが出発。15分ほど走らせて登山ゲートに到着、そこで僕らは車を降りた。登山届の名簿にサインして、登山の準備をしていると、ワゴンに同乗していた東南系の女性がいきなり日本語で話しかけてきた。また英語しか話せないと思った僕はとっさに英語で返そうとすると「日本語わかります」との返事。ちょっと混乱したけど少し安心。少し日本語でやり取りをしたところ、彼女は日本に6年間住んでいて、GWでフィリピンに帰郷するついでにキナバルに登りに来たらしい。9時にゲート地点(1866m)を出発。ガイドは僕の後ろの方に付いてきている。そういうルールなのだろう。歩き始めるとすぐに熱帯の植物が覆ってきていた。すでに1900m付近だから寒いだろうと思って長袖と上着を着ていたのだけれど、むしろ暑すぎるくらいだった。ガイドは半袖の涼しそうな格好だ。厚着が馬鹿らしくて脱ごうと思ったのだけど、英語でストップをうまく伝える方法を思いつかず、50分くらい汗だくになりながら登り続けた。それ以外を除けば今まで登っている山と同じだ。たぶん登り切れると思った。

 

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こんな名札をもらった。

 

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入山ゲート。

 

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滝。ちょろちょろ水が流れていた。

 

9時50分S3地点(約2200m)のシェルター(避難所)で最初の小休止。すでに早く入った大勢の登山者がいた。そこでまず上着を脱いで、タオルで汗を拭いた。汗をかいたので水をたくさん飲んだ。暑かった。日本人の声が聞こえてきたのでその若い男性二人組に話しかけたりした。こういう時日本人がいると少し勇気づけられる。シェルターにはリスがたくさんいて、登山者のくれる餌を待っている様子だった。最初は珍しくて写真を撮ったりしたのだけど、その後シェルターに立ち寄るごとにリスの群れに出くわすことになり食傷するようになった。10分程休憩して、汗も引いたので出発(10:00)。日本の時と変わらないペースだ。途中でガイドがウツボカズラの場所を教えてくれて写真に収める。山道は続くよどこまでも。あだ始まったばかりなのだ。上着を脱いで快適になった僕は、余裕が生まれたのか、花や木々の写真を撮りながら歩いて行くことにした。

 

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シェルター(避難所)

 

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休憩所(シェルター)にたくさんいたリス。

 

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ウツボカズラ。一気に南国らしくなったぞ。

 

10時50分S6シェルター(2702m)にて二回目の休憩。どんどん高度を上げてきたので、気温も下がったように感じるが、まだ半袖で大丈夫。日本で森林限界に来ても良さそうなのだけれど、樹も高く、植生はまだまだ熱帯らしさを感じる。ここに来る前に立ち寄ったガソリンスタンドで買った菓子パンを食べて、11時5分S6を出発。ペットボトルの水は2本目をまもなく消費しようとしていて、水の減りが早く感じた。合わせて2リットル用意していたけれど、もっと持ってきても良かったかもしれない。

そして気温は高くても、空気の薄さは実感せざるを得なかった。呼吸がやや荒くなり、ペースもゆっくりになった。ペースが遅くなると今度は少し肌寒くなる。

 

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弁当袋の中はこれだけ。リンゴは小ぶりでちょっとさみしい。

 

11時40分、S8シェルター(2960)到着。お昼が近かったのでランチを取る。公園本部でもらった袋を開けるとサンドイッチとリンゴと水が入っていた。量が物足りないが、味は悪くなかったと思う。今日の目的地であるラバンラタレストハウスまで残りの標高差は300mだ。思ったほど疲れないし、高山病の気配もなくほっとしていた。ちなみにシェルターにはゴミ捨て場とトイレが完備されており、道も本当によく整備されていて、日本の山よりも綺麗だと思った。ゴミはほとんど落ちていない。入山規制をして、安くない登山料を徴収しているから当然なのかもしれなかったけど、観光目的ではなく、山を大切にしてる雰囲気はずっと感じていた。ガイドは1グループに一人必ず付くようになっている。単独山行は出来ない仕組みだ。そして僕はたくさんの登山者とそれについて歩くたくさんのガイドを見かけた。僕についたガイドは、ガイドと会うたびにマレー語で挨拶を交わしていく。山を大事にしていて、仲間を大事にしている様子がなんとなく伝わった。12時5分出発。

 

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謎の花1

 

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謎の花2

 

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こんな感じの山道を登る。

 

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ラバンラタレストハウスについた〜。ちょっとガスってるね。

 

12時45分。ようやく今日の目的地であるラバンラタレストハウスに到着した。一階が食堂で、2階がドミトリーで、ほとんど人がいなかった。後から気づいたのだけど、どうやら僕は早く到着していたらしい。午後1時のチェックインの時間まで待っていてくれとのこと。英語が苦手な僕のために今後のスケジュールを書いた紙をもらう。それからお湯をもらってホテルからもってきたコーヒーパックでコーヒーを飲みながら時間をつぶす。チェックインが済み鍵をもらってドミトリーの一番奥のベッドに荷物を置いてサンダルに履き替えた。それでも4時の夕食までだいぶ時間があった。昨日街で買ったビールをあけて飲んだ。すっかり僕はこのタイガーというビールがお気に入りだった。標高が高いためか酔いがまわるのが早い。ドミトリーに戻って目をつむって休息。すると途中で会った日本人の二人組がやってきたのでしばし会話。同乗していたフィリピン人の女性もやってきた。高山病なのか頭痛がすると言っていた。水を飲んでしばらく毛布をかぶって休息するようアドバイスすると、すぐに毛布をかぶってしまった。

 

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ドミトリーの中。

 

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2階。こんな感じでいくつか部屋があった。

 

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とりあえずビール。標高が高いため、おつまみの袋がパンパン。

 

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1Fの食堂。来たときはこんな感じでガラガラでした。

午後4時、食事の時間になったので、そのまま4人で同席して食事をとった。ビュッフェ形式でみんなが一斉に並んでいた。来た時はがらんどうのような食堂は、すでに大勢の登山客で埋められていた。欧米系から、東洋系の人、イスラム系の人と世界中から登りに来ているらしい。同席した日本人の二人組は国内外いろいろなところを旅行して回っているそうだ。東南アジアを回ったり、フィンランドでオーロラをみたとのこと。次はモンゴルとキリマンジャロ登山に行くと言っていた。フィリピンの女性もいろいろな国を旅行するのが好きだと言っていた。それから自己紹介をすると、日本人の二人組の一人の名前に女性とともに驚いた。最初の待ち合わせのホテルで来ないと騒いでいた名前を名乗ったからだ。どうやら確認してみると僕ら4人はおなじツアー会社に申し込んでいたようで、出発日を間違えていた様子だった。日程も違うし、コンビも違うし、私はというと出発前に送られていた資料の連絡先の電話番号が違っていたので訂正を求めていたくらいだった。ともあれ食事はどれも美味しく楽しかった。食後にチョコレートムースやプリンなどのデザートも用意されていた。

 

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食堂が大賑わい。

 

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ここに並んでお皿に盛り付けていきます。

 

食事を終えて4人でドミトリーに戻るとベッドの10床全部埋まっていた(女性も同じドミトリーだった。ツアーによって部屋が決まっているのかもしれない)。夕暮れも近づき気温が下がる。12℃程か。ちょっと肌寒いくらい。ドミトリー内の構成は東洋系の人ばかりで、主に中国語が飛び交っていた。国柄というものがでるようで彼らは寝静まっているなかでも携帯で電話をはじめたりする。日本人はひっそりしたもので、彼らが去っていなくなった後ようやく喋り始めるという感じ。登山装備も日本人はきっちりとやるけれど、中国系はジーンズに運動靴だったり、荷物が凄くたくさんだったり、アバウトな感じ。僕のすぐ傍にコンセントがあったんだけど、何度も電源を求めてやってきたので閉口した。9時頃就寝。

 

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雨季の12月は、雨で山頂の岸壁がこんな感じになるらしい。ガイドに登ってみたいと聞いたらやめておけと言われた。

 

3日目

朝食はご来光に合わせるみたいで2時から。夕食と同じ4人でとった。話してみると出発時間が各々違うようだ。ペースによって出発時間を調整しているようだった。僕らの食事の間にもどんどん人が少なくなっていった。3時15分ヘッドランプを付けてハウスを出た。どうやら僕が一番最後の出発らしくほとんど人がいなくなっていた。

 

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午前2時すぎ。みんな朝食を済まして出発準備中。

 

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夜の様子。これでも標高3000mを超えている。

 

2日目の最初はガイドが僕の前を歩き先導してくれた。道が暗く間違えないようにという配慮だろう。しかし昨日よりもさらに速いペースでガイドは先を歩いていく。おかげで何人も追い越すことになった。急勾配の山道を抜けると、今度は岩肌のみの途中ロープが貼られているところに入っていった。慎重に登って落ちないように気を付ける。ロープ地帯を抜けると道幅が若干広くなった。するとガイドが普通の登山ルートではないところをガ歩きはじめ、僕は渋滞に巻き込まれず気楽に登ることができた。

3時40分休憩4:00出発。しばらくして途中の山頂手前のサヤッサヤッ小屋で登頂手続きをして、さらに登り始める。

 

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サヤッサヤッ小屋

 

5時10分、僕はロウズピークに登頂した。4095mの頂に立った。記念撮影。猫の額のほどの大きさの山の頂には100人を超す登山者が集まっていた。寒いなあ。(5℃くらい?)さらにフリースを着込んで、日の出(5:47予定)を待った。あいにく日の出の方向は雲でさえぎられていて、サンライズは予定よりも10分程後だった。日の光で辺りは一変していた。360度どこ見ても壮観だった。目の前のセントジョーンズ山(4095m)、すぐとなりにコタキナバルの湾がみえた。その方向に山の頂の影が見えた。細長く屹立する岩山が太陽の光を受けて姿を現した。登ってよかったと思った。

 

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夜明け

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目の前に佇むセントジョーンズ山(4092m)

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キナバル影

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夜明けの様子

6時10分また僕は一番最後に下山開始。蛇行しながらも慎重に降りた。7時10分、ラバンラタレストハウス一番乗り。7時半の二度目の朝食まで時間があったので、シャワー室に入り身体を洗った。なんとか登頂できてほっとしている。7:30朝食。ここではなんだか食べてばかりな気がした。ここの食事はどれも本当に美味しくて、登りに来たといよりも食事をしに来たみたいだった。8時出発。スマホの電源が切れかかっていたのでやや急ぎめで降りて行った。9時と、9時40分の2回休憩をとって10時過ぎにゲートに下山。登山終了。ゲート内にある売店で缶ビールを2本買ってガイドと一緒に乾杯。おっちゃんはカンパイという日本語を知っていた。どこで覚えたのだろう。おっちゃんはガイド歴は10年らしい。
そのあと僕は公園本部に車で戻り、登頂証明書をもらってガイドと別れた。11:30まで公園本部の周りを散歩して時間をつぶして、それからホテルに戻りコタキナバル市内を散策した。

そのあと

そのあと僕はコタキナバル観光で島巡りをしました。熱帯の海をシュノーケルで魚と戯れたり、パラセーリングや島内トレッキングをしたり、リバークルーズでホタル観賞をしたりして自然を満喫して、それからシンガポールに立ち寄って、カジノに行ったり、バスでタンジュンピアイというユーラシア大陸最南端に行ってきたりしてきた。期間は4/28〜5/5の8日間。本当に楽しかった。

おしまい。